親知らずの抜歯

Tooth extraction 1

親知らずの抜歯、と聞くと皆さんあまり良いイメージをお持ちでないと思います。ネットで調べると、腫れる・痛い・神経が痺れるなど、恐怖心を駆り立てるようなキーワードが勢揃いです。きっと皆さんのご友人やご家族も、辛いご経験を話してくださるでしょう。喜んで親知らずを抜きたいと思う方は、そうそういないでしょう。もちろん抜かなくて済むに越したことはありません。では、そもそも親知らずは絶対に抜かないといけないのでしょうか。

答えはNOです。真っ直ぐ生えていて、反対側の歯としっかりと噛み合い、歯磨きも行き届くような場合は抜く必要はありません。しかし上記のうち、1つでも欠けるようでしたら抜歯をおすすめします。

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現代の日本人の顎の骨は、食生活の変化により発達が乏しく、親知らずを入れた計32本が真っ直ぐ生えてくるスペースがありませんそのため、最後にできる親知らずが、斜めを向いていたり真横を向いていたり、骨から出てくることができずに埋まったままの状態のものがあるわけです。

このようにうまく生えてこれなかった親知らずは、歯磨きがとても大変です。親知らずはすごく奥の方にあり、さらに周りには骨や舌や頬があるため、歯ブラシが届きにくく動かしにくいのです。そして汚れが溜まっていくと、歯茎が腫れたり、虫歯になったりします。残念なことに、一度腫れてしまった事がある親知らずは、今は良くても必ずまた繰り返します。

スポーツ選手が膝や肩に爆弾を抱えているのと同じ状態です。そして、そのまま放っておくと、こぶとり爺さんのように腫れてしまい、口が開かなくなったり、唾を飲み込むだけでも痛くなったりしてしまいます。また、虫歯になってしまうと、歯磨きがしにくい理由と同じで、我々も治療に使う器具が入りにくく、治療の精度が落ちてしまいます。そして、うまく治ったとしても、歯磨きが難しい事は変わらないので、また同じところが虫歯になってしまっているのを良く見ます。

一番残念なのは、親知らずと一つ手前の歯との隙間が虫歯になってしまう事です。親知らずより手前の歯は全て大切な歯ですが、親知らずがあることにより清掃性が低下し、そこから虫歯になってしまうとその歯の寿命は一気に縮まってしまいます。これらの理由により、害がある、または害が予想される親知らずは抜歯をおすすめします。

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親知らずの抜歯はその歯の状態により難易度や術式が大きく変わります。簡単なケースですと、あっという間に終わってしまい、全く痛くないこともありますが、状態によっては歯茎を切ったり骨を削ったり、歯を割ったりして抜かなければならないこともあります。このようなケースでは抜歯中の痛みをなくすことはできますが、抜歯後に痛みや腫れを伴ってしまいます。痛みのピークは抜歯後 2〜3日、腫れのピークは抜歯後3〜4日で、完全に症状がなくなるまでには1〜2週間かかるのが一般的です。

匠デンタルクリニックでは、抜歯中だけでなく抜歯後の痛みも極力少なくする事が可能です。その理由は、スピーディーかつ低侵襲な抜歯を行うためです。抜歯にかかる時間や抜く歯の周りの歯茎や骨のダメージが少ないほど、抜歯後の痛みや腫れも少なくなります。当院ではCTやマイクロスコープを用いることにより、歯の形や位置を把握でき、安全・迅速・低侵襲な抜歯が可能になります。

また、親知らずの周囲には太い血管や神経など、危険を伴う組織も存在します。もし、不慮の事態が予想される場合には、患者様の安全を第一に考え、設備が整った大学病院にご紹介させていただく場合もございます。腫れや痛みが強い場合には麻酔が効きづらく、治りも悪くなるため、気になったら我慢せず、すぐにご相談ください。